注目を集めるフリースクールってどんな場所!?

もしも子どもが不登校になってしまったら…。現在では、それなら“別の学びの場を”と前向きに切り替える家庭が増えているようです。その代名詞とも言えるのが「フリースクール」ですが、実際にどんな場所なのでしょうか。ここでは、義務教育期間中の子どもを対象としたフリースクールについて、その特徴や種類、制度等を現状とともにみていきます。

***

「フリースクール」とはもともと、「登校拒否」という問題が顕在化した1980年代に私塾のようなかたちで広がっていったのが始まりですが、現在は全国に470カ所以上(その多くがNPO法人や個人が運営)、約4200人の小中学生が通っています【※1】。

フリースクールの特徴・活動内容

学校ごとに様々な特色がありますが、その多くは無理のない登校ペースで通えたり、個別のカリキュラムを作成してもらえたりと個人を尊重してもらえるのが大きな特徴です。行う活動として最も多いのが個別学習と個別相談・カウンセリング。次いで多いのが、社会体験(見学、職場体験など)、自然体験(自然観察、農業体験など)、調理体験、芸術活動(音楽、工芸など)、スポーツです【※1】。特に体験学習は地域の環境や文化等によって大きな違いが出ているようです。

フリースクールの種類

(1) 復学を目指すフリースクール

在籍する学校への復帰を目標に、学校の授業進度に合わせた学習指導を行います。

※「教育支援センター(適応指導教室)」
復学を目指すものとしては教育委員会が運営する「教育支援センター(適応指導教室)」もあります。ほぼ無償のため、実際にはその目的に限らず経済的な理由でここに通う子どもも多いようです。現在、約18000人がこの支援を受けています【※2】。

(2)“居場所”としてのフリースクール

学習面よりも、学校に行けない子どもたちの居場所としての役割に力を入れています。カウンセリングやメンバーとのコミュニケーション、体験学習を通して心理状態の快復を目指しています。

(3)専門的なサポートが受けられるフリースクール

◆いわゆる発達・学習障がいなどがある子どもを対象に、専門知識を持ったスタッフが個別の状況に配慮しながら学習指導や社会性の訓練を行います。
◆心身に疾患、障がいがある子どもを対象に、医療機関と連携したフリースクールもあります。

(4)「通う」以外の選択肢

◆通学が困難な子どもを対象に、スタッフが自宅を訪問しカウンセリングや学習指導などを行います。
◆生活面を含めた指導を受けたい場合は、他のメンバーと寝食を共にする宿舎(寮)が用意されたところもあります。

子どもをフリースクールに通わせるとしたら…

仕組み

もし義務教育期間中の子どもをフリースクールに通わせる場合は、まず在籍する学校に相談し了承を得る必要があります。フリースクールは学校教育法上の「学校」ではないので、その学校に籍を置いたままでフリースクールに通うことになります。また、これは在籍する学校長の判断次第ですが、フリースクールでの学習を在籍する学校の出席扱いとすることも可能です。この場合、学校に戻らなくてもフリースクールでの取り組みを以って小学校・中学校を卒業することができます。
(現在、在籍する学校で出席扱いになっている人数は全体4196人中2341人。全体の55.8%【※1】)

費用

授業料(月額)の平均額は約33000円
金額区分…割合(%)
5000円以下…9.5%
5001~10000円…5.7%
10001~30000円…38.2%
30001~50000円…36.3%
50001円以上…10.3%
【※1】
義務教育期間、公立の小中学校がほぼ無償なのに対して決して安い金額ではありませんが、
フリースクールは学校法人ではないので支援が乏しいのが現状です。
ただ、この状況を改善すべく国が動き始めているという点も気になるところ。2014年7月の教育再生実行会議第5次提言では、フリースクール等学校以外の教育について「就学義務や公費負担の在り方を含め検討する」という一文が記され、同11月には文部科学省主催の「全国フリースクール等フォーラム」が開催されました。2015年1月には有識者による「フリースクール等に関する検討会議」が発足。2016年6月までに11回開催されており、フリースクールへの公的支援やフリースクールの制度上の位置づけについて本格的に検討されています。今後の支援についてこの動きに期待したいですね。

フリースクールで義務教育課程を修了。引き続き学び続けるには…

ほとんどのフリースクールでは卒業後の進路サポートをしてくれます。中学校卒業後も引き続きフリースクール形式の学校に通いたいという人は以下の二つの選択肢があります。

〈中学校卒業者対象のフリースクール〉

小・中学生を対象としたフリースクール同様、様々なタイプのフリースクールがあります。
気をつけたいのは、義務教育期間中とは違ってそのフリースクールを卒業しても「高校卒業認定」が得られないということ。フリースクールに通いながらこの認定を得るには個別に「高卒認定試験」(年に2回、文部科学省が実施)を受け合格しなければなりません。

〈通信制高校 + サポート校〉

一方の通信制高校は学校教育法が認める公の教育機関です。規定の単位を取得して卒業すれば「高校卒業認定」が得られます。問題は月に数回の「スクーリング」の日以外は基本的に自宅での自習になるため挫折しそうになるということ。そこで通信制高校で学ぶ多くの人が塾や予備校が運営するサポート校に通い、卒業までの学習指導や進捗状況のアドバイスを受けています。生活面・心理面のサポートをしてくれたり、他のメンバーと交流したりという点では、“居場所”という役割も兼ねているようです。(※サポート校には中学生を対象としたものもあります)

***

今後ますます多様化しそうな“学校以外の学びの場”。それはそれで「学校離れ」を助長するのではという懸念もありますが、大切なのは保護者が子どもの現状をしっかり確認するということ。なかには深刻な学校環境・心理状態な時もあります。あまりに辛そうなは無理をさせずに、保護者が学校以外の選択肢を紹介してあげるだけでも子どもの気持ちは楽になるかもしれません。常に子どもの味方という立場を示しながら、情報収集し最善の選択をしてあげたいですね。

【※1】
文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(2015年8月5日)
【※2】
同「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」(2015年8月26日)

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