『小学生の英語教育』身につく力と活用したい検定資格

小学校での英語が必修化されるなど、低年齢からの英語教育が進められています。
今回は早期英語教育の目的と、それによって身につけたい能力、活用できる検定、資格についてまとめていきます。

小学校での英語教育が教科化、その目的とは?

公立小学校の教育に“英語”が導入されたのは2008年度のこと。
5年生・6年生を対象に「外国語活動」として始まり、2011年度からはこれが必修化。
そして2020年度からこの「外国語活動」は3年生・4年生を対象に必修化、5年生・6年生からは教科化されることが決定しました(2018年度から段階的に導入する学校もあるようです)。

“必修化”というのは読んで字のごとく “必ず教えてください”という意味ですが、この段階では定められた教科書やカリキュラムなどはありません。
それぞれの学校の方針や教員の裁量のもと、外国語(英語)に親しむ時間として、現在、週1コマのペースで活動しているようです。
それが“教科化”されることで何が変わるのでしょうか。
ざっくり言うと、文部科学省の認める教科書を用いた授業が行われ定期的にテストを実施、それが評価され各々の成績が出されるようになるということです。

そして今回注目したいのが、この「教科化」は従来の英語教育を前倒しするのではなく、いわゆる“使える英語”の基礎を身につけるため「聞く・話す・読む・書く」の4技能を育成することが目的であるということ。
実践的な新しい英語教育が小学校に導入されるということです。

早期英語教育、身につけたい力とは

英語教育の早期化については様々な意見があり、またその指導方法にも多くの課題があるようです。
しかし、子どもにいつから、どんなふうに英語を学ばせればよいのか、あるいは小学校で英語を習うよりも前に英語学習を始めたいというような保護者の関心が高まってきているのは確かで、未就学児~小学生を対象とした英会話教室や英語塾も増えてきているようです。
では低年齢から英語を学ぶとするならば、どのような始め方がよいのでしょうか。

発達に合わせた英語教育の始め方

低年齢の子どもたちへの英語指導の方法は、発達段階にある子どもの身体と脳の関係に着目し、そこをうまく伸ばしてあげると良いようです。
まず身に着けたいのが「リスニング(listening)」の力。この時期の脳は、五感をフルに使って自分の外部にある情報を取り入れ、すぐに自らのものにします。なかでも聴覚が鋭敏ですし“真似っこ”も大好きです。
ネイティブの英語を聞き、イントネーションやリズムを癖なくそのまま“真似っこ”して、たくさんの言葉、言い回し、簡単なやりとりを覚えていくのが良いでしょう。

英語の感覚に身体が慣れてきたら、“真似っこ”だけではなく、自分の言いたいことを英語で表現してみる「スピーキング(speaking)」のステップへ。
「自分の覚えた英語が形になってきた」、「相手に伝わった」という感動や楽しさを体感することでコミュニケーションとしての英語、つまり“使える英語”がどんどん身についていきます。

綴りや文法など、いわゆる“考える英語”から英語学習に入った世代としては心許ない気もしますが、英語の「読み書き」(「リーディング(reading)」「ライティング(writing)」)は、このベースができた後からで遅くはないようです。子どもの脳と身体は素直で柔軟。
楽しい、面白いことはどんどん吸収していく半面、面倒なことはすぐにやめてしまいます。
最初の段階では、強制したり義務付けたりするのではなく、身体全体を使って英語を楽しむことが大切です。

うまく活用したい未就学児~小学生対象の英語検定

このように導入としては「楽しく」がポイントの英語学習ですが、しばらく勉強を続けていくと “今の自分の力を知りたい”、“新たな目標を持って勉強を続けたい”という人も出てくるでしょう。その際に活用したいのが未就学児~小学生を対象とした英語検定です。「検定」というとなんとなく“楽しくない”イメージですが、現在、「リスニング(listening)」をメインとしたもの、イラストが豊富なもの、自宅のパソコンでできるものなど英語学習初級者でも楽しく取り組めるテストがたくさん整備されています。ここでは5つの検定を紹介します。

実用英語検定

5・4・3・準2・2・準1・1の7段階のいずれかを選択して受験。合否で判定される。※2016年度から国際基準のスコア尺度「CSE」を導入。合否判定以外にも4技能それぞれのスコアと個別の学習アドバイスが出されるので国際標準規格による自分の実力、得意不得意の分野が確認できる。

英検Jr.

1994年に「児童英検」としてスタートし2015年4月から「英検Jr.」として新しくなった。「リスニング(listening)」のみのテストで、学校や塾で受ける「ペーパー型」と個人やグループなど自宅のパソコンでも受検可能な「オンライン型」とがある。BRONZE(小学校低学年程度)、SILVER(小学校中学年程度)、GORD(小学校高学年程度)の三段階があり、合否判定ではなく正解率で評価される。

TOEFL Primary

英語運用能力テストTOEFLの新たなラインナップとして2014年からスタート。テストは「リスニング(listening)/リーディング(reading)」「スピーキング(speaking)」の2つで構成されており「リスニング(listening)/リーディング(reading)」ではステップ1(英語学習初級者対象)とステップ2(英語で何らかのコミュニケーションをとれる学習者対象)の2段階がある。いずれも合否判定はなく「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」に対応した国際標準規格のスコアで自分の理解度を確認できる。

JET(ジュニア・イングリッシュ・テスト)

TOEICの子ども向け英語検定。10~1級までの10段階。10級・9級は「リスニング(listening)」のみ。8級以上は「リスニング(listening)」と「リーディング(reading)」で測られる。合否判定あり。

国連英検ジュニアテスト

E、D、C、B、preA、Aの6段階があり、いずれも「リスニング(listening)」のみのテスト。それぞれのテストで点数により1級、2級、3級で評価される。受検者には「設問と解答」、「総合評価」とともに認定証が送られてくる。E、Dは自宅での受験も可能。

検定ごとにそれぞれの特徴があるので、子どもがチャレンジしやすいものを選んであげるとよいでしょう。また合否判定、点数だけでなくスコアやこれからの英語学習のアドバイス、認定証が送られてくる検定もあるので、英語学習のモチベーションをあげたり、学校の英語教育につなげたりするツールとしてうまく活用したいですね。

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