思い返せば誰もが、これまでの人生でたくさんの先生に出会ってきているはず。
忘れられない恩師、ちょっと苦手だったクラス担任、友達のように親しかった新任の先生・・・
教えを受けた教師一人一人に、さまざまな思い出を抱いていることでしょう。
もちろん、あまり思い出したくない先生も中にはいるかもしれませんね。
いま、自分自身が教える側になり、あらためてどんな教師になりたいのか考えたとき、
「あの先生に出会ってよかった、と生徒の記憶に残ることができたら・・・」
そんなふうに思う人も多いのではないでしょうか。
でも、いざ「良い先生」を目指して頑張ろう、と思っても、漠然とイメージは浮かぶものの、なかなか具体的な教師像を描くのは難しいですよね。
そこで今回は、「良い先生」に求められるパーソナリティーや資質、そしてよく見られる特徴をお伝えしていこうと思います。ぜひ、皆さんが目指す教師像の参考にしてみてください。
良い先生になるための資質って?
まずは、パーソナリティーの面から見ていくことにします。これらが当てはまる人は、教えることに向いている性格の持ち主といえるでしょう。
● 基本的に明るい人
● 気分をコントロールでき、平常心を保てる人
● つねに自分を客観的に見ることができる人
● 時間を守れる人
● 計画性と責任感のある人
● 結果を急がず、待てる人
● 話すのと同じくらい、聞くのが得意な人
● 生徒とのやりとりのキャッチボールを楽しめる人
● 生徒の問題点・課題点を前向きにとらえられる人
あてはまるものがいくつか見つかったでしょうか。
次に、文部科学省が提唱している、優れた教師がもつべき資質をあげてみましょう。
①教育的な熱情・真剣さ
優れた教師の第一条件といえるもの。
いいかげんでおざなりな態度や、口先だけ、見かけだけ、そんな教師のことは生徒のほうでもすぐに忘れ去ってしまいます。
熱情・真剣さは、子どもに対する愛情と、教職に対する使命感のあらわれ。それが面倒見の良さや、厳しくも温かい対応、きめ細かい指導という形で生徒に伝わっていくのです。そういう教師であれば、何十年たっても、懐かしく、尊敬をこめて思い出されることでしょう。
②教育的な力量
①は教師としての必要条件ではありますが、気持ちだけではやっていけないのも事実。実際に指導するにあたって、そのための技術や手法は欠かせません。
教材の活用、説明能力、板書の仕方、テスト問題の作り方・・・教師が心得るべき技術は数多く、しかもつねにグレードアップをはかる必要があります。とはいえ、テクニックだけで良い授業ができるかといえばそうではなく、生徒の心をつかむ話し方、ひきつける迫力など、教師自身のもつ存在感も、大切な要素となります。
③総合的な人間力
教育とは、教える側の能力のみならず、人間としての生き方や、在り方も問われるもの。
生徒の心に鮮やかな印象を残すのは、授業の場を通して、自分自身の人間性をなんらかの形で表現している教師ではないでしょうか。
言うまでもなく、そんな総合的人間力を身につけるには、つね日ごろからさまざまな面で自分自身を伸ばしていこうと努力する向上心が求められます。これは教職にあるかぎり、生涯にわたって追い求めていくべき目標といえるでしょう。
優秀な教師に見られるこんな特徴
それでは、実際に良い先生といわれる人に、よく見られる特徴とはどんなものでしょうか。
ここにあげたすべてを兼ね備えるにはそれなりの時間と経験が必要ですが、もし共感できるものがあれば、自分なりのやり方で取り入れてみるのも良いかもしれませんね。
● 良い先生は、すべての生徒に大きな期待を寄せている
● 良い先生は、親しみやすく、生徒とのあいだに人間同士の繋がりを築いている
● 良い先生は、独りよがりでなく、生徒の意見にも耳を傾ける
● 良い先生は、自分のやり方が絶対と思わず、つねに反省を忘れない
● 良い先生は、意味のない雑談はせず、理解を深めるための雑談をする
● 良い先生は、準備や計画がしっかりしているので、時間通りに授業が終わる
● 良い先生は、生徒の意欲を高める授業をするので、質問が活発に出る
● 良い先生は、担当教科のエキスパートであり、つねに知識を高めている
● 良い先生は、専門分野以外の教養も高く、社会的経験が豊か
● 良い先生は、生徒の家庭との連絡を密にし、ひんぱんに保護者と対話する
このように、優秀な教師はさまざまな長所を併せ持ち、生徒や保護者の信頼を勝ち取っているもの。そこには、現状に満足せず、つねに自分を高めようと努力する姿がうかがえます。
しかし、これらの要素に劣らず大切なのはやはり、「教えることへの情熱」といえるのではないでしょうか。
多忙極まりなく、責任も重い教師の仕事は、生半可な気持ちではなかなか務まらないのが現実。その職務を全うするには、教育に対する熱い気持ちと意気込みは欠かせません。
そして、教える側として上に立つ以上、学業が優秀なだけでなく、多様な経験を積み、人間としての幅を拡げておくことも不可欠といえるでしょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
「こんなに優れた資質、自分にはない・・」とがっかりした方、ご心配には及びません。
いま優秀な教師といわれる人も、けっして最初から優秀だったわけではなく、試行錯誤し、失敗を繰り返し、それでも努力を怠らない年月を重ねるうちに、気が付けば「良い先生」という評価があとからついてきた、という人がほとんど。
大切なのは、「こんな先生になりたい」という明確な目標をもち、そのために必要と思われることを、とにかくやってみること。そしてもっと大切なのは、やり続けることです。
皆さんも今年はぜひ、理想の教師への力強い第一歩を踏み出してみませんか。